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約10年Webフロントエンドをやってきた人間が、ゲームを作り始めました

筆者について: Webフロントエンドエンジニア(実務約10年)。SES4年+事業会社6年、少人数チームでメインコーダーとしてCMS構築・EC開発を担当。この連載では、Web開発の技術と規律を個人開発のゲーム制作にどう応用しているかを書きます。
ゲーム業界の経験はゼロです
私はゲームクリエイターではありません。約10年、Webフロントエンドの実装をやってきたエンジニアです。やってきたことを並べると:
- デザインカンプからのコーディング(ピクセルパーフェクトが基本姿勢)
- WordPress・自社CMS・ecforce(ECプラットフォーム)への繋ぎ込み
- 近年は TypeScript / React / TailwindCSS
- フロントチームは常に1〜2名。実装の最終責任はいつも自分
そんな人間が今、個人開発で戦略シミュレーションゲームを作っています。
AIの登場が、個人開発に挑戦するハードルを大きく下げてくれました。
きっかけは「ゲームを改造して遊ぶ文化」
昔、市販のゲームを改造して楽しむ界隈がありました。データを書き換えてオリジナルの武将を出したり、シナリオを差し替えたり。公式には認められていない、グレーな遊び方です。
あの「遊ぶ側から作る側に回る楽しさ」が忘れられませんでした。
そして、ずっと思ってました。
「これ、もっといろんな人が気軽に正式にできたらいいのに」
好きな戦略ゲームの上で、自分の考えたキャラクターと物語を、誰でも堂々と作って共有できたら。それを実現するには土台になるゲーム本体が要る——だからまず、47都道府県を舞台にした戦国風の戦略シミュレーションを作り始めました。
個人開発でも、仕事と同じ規律を課した
個人開発は、雑に作ろうと思えばいくらでも雑に作れます。テストなし、設計メモなし、動けばOK。誰にも怒られません。
でも私が10年の実務で学んだのは逆のことです。少人数ほど、仕組みで品質を守るしかない。レビュアーがいない環境で品質を保つ方法は、規律の自動化だけです。
だから個人開発にも仕事の習慣をそのまま持ち込みました。開発開始から約2ヶ月半で、リポジトリにはこれだけ積み上がっています。
資産 | 規模 | 何のためか |
|---|---|---|
自動テスト | 984ケース | 変更のたびに「壊れていない か」を機械が確認 |
意思決定記録(ADR) | 56件 | 「なぜそうしたか」を残す。失敗した判断も消さない |
設計文書 | 237本 | 作る前に仕様を文章化。AI協業の入力にもなる(連載で詳述) |
この規律があるからこそ、後の記事で書く「AIに実装を任せる開発」が破綻せずに回っています。
今、こんなゲームになっています
開発初日、最初に動いたのはこの画面でした。九州9拠点のノードグラフの上で、AIの勢力同士が自動で戦うだけのシミュレーターです(勢力名が「猫帝国」「ホチキス王国」なのは仮データの名残です)。

そこから約2ヶ月半。今は47都道府県マップの上で、内政・外交・合戦が回るところまで来ました。同じ九州は、こうなっています。

現在の開発状況をまとめるとこうです。
項目 | 内容 |
|---|---|
タイトル | Worldline Simulator |
技術スタック | React 19 / TypeScript / Vite |
自動テスト | 984ケース |
コミット数 | 3,162(約2ヶ月半) |
開発体制 | 1人 + AI(Claude / Codex / ChatGPT) |
公開予定 | Web体験版&Steam体験版を準備中 |
このあと書いていくこと
この連載では、こんな話を書いていく予定です。
- なぜUnityではなくReactでゲームを作っているのか
- AIに書かせたコードを、どうやって検証しているか
- 体験版の公開と、つまずいた実装の話(解像度対応、地図描画の高速化など)
ゲームの宣伝というより、Webエンジニアが慣れない分野で試行錯誤している記録です。同じようにWebをやってきた人の参考や、「自分もなにか作ってみようかな」のきっかけになれば嬉しいです。
次回は「なぜUnityではなくReactか」の話から始めます。
